農家の「相場感」をアプリに。10年分のデータを自動で届ける仕組みをつくる
農業では、感覚ではなんとなくわかけも、数字で確認しようとすると意外と手間がかかる、という場面がしばしばあります。農林水産省のWebサイトに行けばデータはある。ただ、見やすい形にはなっていない。
HOJOHは、そのギャップを埋めるために開発しているアプリです。
10年分の価格データを、アプリの中に
今回取り組んだのは、2017年から2026年までの青果物卸売価格データをアプリに組み込む作業です。
農林水産省は「青果物卸売市場調査」として、全国の主要市場における日別の取引価格を公開しています。きゅうり、トマト、キャベツ、たまねぎなど19品目。仙台から沖縄まで14市場。それを週次に集計すると、約8.4MBのデータになりました。
数字だけ並べてもピンとこないかもしれませんが、「過去10年の相場がグラフで一目でわかる」という体験は、農家にとって意外と価値があります。今年の価格が高いのか低いのか、例年と比べてどうなのか。そういう判断の根拠になるからです。
手作業から、自動化へ
ただ、このデータを「毎回手動で取ってくる」のは現実的ではありません。
農水省のサイトにアクセスして、年・月・旬を選んでダウンロードして、解凍して、整形して、アプリのデータベースに流し込む。これを10日ごとにやり続けるのは、続きません。
そこで今回、この一連の作業を自動化できないか検討しました。
最初はブラウザを自動操作するツール(Playwright)が必要だと思っていたのですが、調べてみると農水省サイトへのアクセスはシンプルなHTTPリクエストで再現できることがわかりました。Pythonの基本的なライブラリだけで動く。これは予想外の収穫でした。
サーバーで動かす、という選択
自動化の実行環境として選んだのは、すでに契約しているXserverです。
毎月1日・11日・21日の朝9時に自動実行するよう設定すれば、あとは放置で最新データがアプリに反映される。そういう仕組みが、月数百円のサーバーで実現できます。
現時点でデータ取得と整形の部分は動作確認済みです。残るのは、データベース(Firebase)への書き込みと、価格予測の精度検証。どちらも次のステップとして進めているところです。
「農家がデータで動ける」アプリへ
価格データの自動更新は、HOJOHのひとつの機能に過ぎません。
ただ、この機能があることで「今この野菜を出荷すべきか」「来月まで待った方がいいか」という判断が、感覚だけでなくデータを根拠にできるようになります。
農業とITの距離は、まだ遠い。でも、こういう小さな積み重ねが、少しずつその距離を縮めていくと思っています。
HOJOHの開発は続きます。
HOJOH(ホジョウ)は、農業従事者向けに開発中のスマートフォンアプリです。圃場管理・市場データの可視化などの機能を搭載予定です。
